Rollingdays

顔では笑って帰りたい、とは言っても。

次の瞬間には、すっと覚悟を決める。醒めた横顔を見せる。

相変わらずだなぁと思う。らしいな、と思う。

それでこそ、とも思う。

やっぱり見るのに勇気が必要だったけど、見れてよかった。

そうよ、それで雅紀はごはん食べてるの。

無理して頑張ることで。

煽るだけのナレーションと、結果しか見せないやり方はどうかと思うが、それはそれでいいんだろう。

喜ぶ人が少しでもいれば。

雅紀のプライベートがどれだけ充実してるのかは知らないが、もし仕事がなくなれば脱け殻だと思う。

もういいや、終わりにしよう、そう雅紀自身が思うその時まで、息をつめて見つめていくだけだ。

それができるだけ遠い未来であってほしいけど、もし明日がその日でも、ちゃんと受け止めよう。

雅紀とは比べるべくもないが、私も仕事がなければ脱け殻。

今日は休日出勤の振替で休みで。

前から行きたかった横浜の放送ライブラリーへ。

貴族探偵のセットの模型などが展示されてて。

あと台本もあったかな。

ところがね、思ったほど、高まらず。

せっかくの休みを充実させようと歩き回ってみても、なんか虚しい。

ひとりは気楽だし、平日ならどこも空いてるし、それはそれなりに楽しいけど、満たされない。

美味しいものを食べて、服の一枚でも買ってみても心は踊らない。

認めるのはなんとなく癪だけど、すべての基準が仕事になってるんだわ。

綿密に作られた模型を見れば、これを作った人の仕事に対する気概を感じる。

そんな作られたおもちゃのような世界を実現させようと必死になる、雅紀の仕事への熱を思う。

つまり、純粋に目の前のことを楽しむことができないんだ。

何をしてても、どこか罪悪感というか、自分のために何かをするというのは後ろめたさがある。

自分を楽しませる休日っていうのは、難しい。

仕事以外にはなんにも心を動かされないんだ。

もちろん雅紀本人にはぐらぐら揺さぶられるけど。

私ってほんとに薄っぺらい人間だなー。

こんなに嫌な思いも悔しい思いもしてるのに、仕事がないと存在感なし。

いろんなことをのみ込んで、淡と仕事に向き合う雅紀の頭のなかが少し見える気がする。

なんで?って疑問に思い始めたら、すべて停止してしまうんだ。

停止してしまったら、それこそ終わり。

帰りたい、から、頑張る、までの瞬間。

どれほど重たくて、眩しいことか。